本とお茶 ときどき手紙 草径庵
横浜の住宅街に本とお茶を楽しむ空間を作りました。小さな店ですが、お茶を飲みながら自由に本を閲覧していただけます。お散歩の一休みにもどうぞ…。

プロフィール

草径庵

Author:草径庵
2012年11月横浜市磯子区にお茶を飲みながら本を楽しむお店をオープン。蔵書は文芸書・哲学書・エッセイなど。2015年11月まちライブラリーに仲間入り。「本の会」も始めました。毎週木曜~土曜9:00~16:00営業です。



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図書館日和~美しい本~

~図書館日和~

晴れた日には図書館へ行く。
雨の日は図書館で借りた本を家で読み
少し心が曇った日にも図書館へ行く。
本好きの草径庵オーナーが綴る
「図書館とわたし」の日々。




九州地方が梅雨入りした。
横浜の入梅はいつだろう。

実は草径庵、雨に少々弱い…。
もともとアパート1階のベランダ部分を改装して店の入口にしたので
殺風景なうえ、庇がなく
雨の強い日には
お客様にすみませんという気持ちで営業してきた。

そこで、いよいよ庇をつけようと決心。
頼りにしている設計士さんや工務店さんの意見もうかがいながら
建築関係の本を調べるために図書館へ行った。
いつもは
図書館入口の掲示板をチラとみながら(足を止めず)書架を目指すのだけれど
その日はふと、足が止まった。
「本の修理ボランティア募集」のチラシが目に入ったから。

今から6年ほど前、
横浜市立図書館で募集したボランティア養成講座を受け
ほんの少しの間だったけれど、本の修理をしたことがあった。

参加者は
私のような主婦から定年退職後らしき男性や若い女性もちらほらいたと思う。
20~30人くらいだったか、担当の女性の図書館職員の話では
応募者多数で抽選となり、私たちは当選者だったらしい。

「本が好きだから」
「本の創りを知りたい」
中には
「小さいころからこの図書館にお世話になっていて、
この年になってようやく時間ができたので、恩返しがしたい」という方もあり
本好きが集まっているだけあって、
お互いの自己紹介の理由に頷きながら聞いていたように思う。

修理の講座の前に
本の構造を知ろうということで、まずは製本のレッスン。
先生は
磯子図書館で本の修理ボランティアをしている製本サークルの方たちだった。
何でもそうだけれど
分解してみると見えないところにいろんな工夫や仕掛けがあることに気づく。
普段何気なく見過ごしているけれど、
細かなつくりに意味があることや
「のど」や「はなぎれ」という名称を知ることも楽しかった。

数回の口座を終了し、いよいよ修理ボランティアが始まった。
図書館の職員通用口から作業部屋へエレベーターで向かう。
各自修理道具を出して作業スペースを用意すると
修理を待つ本の並ぶスチールの棚へ。
手先の器用でないわたしは、ページ破れなどの小さな修理専門だった。

特に修理に多く出ていたのは
コピーを取ることの多いムック本と子ども向けの単行本や絵本だった。
中でも子ども達に人気のシリーズの単行本が多かったことには複雑な気持ちになった。
それは扱い方が乱暴で傷んだというより
つくりが粗いために傷みやすい、と思えるものもあったからだ。
いわゆる名作全集でなく、
より多くの子どもが日常的に読む人気本こそ
本文にすっきり合う美しい装幀とていねいで、しっかりした創りの本だといいなあと思う。
図書館という膨大な本の海の入口で
子どもの頃から
美しい仕事の本により多く出会えたら、本という実体に愛着がわくかもしれない。

その後仕事を始め、わたしの修理ボランティアはあえなく終了となったけれど
相変わらず図書館へ通っている。

6月になって入梅も間もなく。
店の庇を考える日々は続き、図書館日和も続く。






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